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【福岡発】営業しない営業マン、だけど頼りがいがあるMさんの話

不動産の話とは直接関係ありませんが、物やサービスを買う動機についてのお話です。

事務所で留守番をしていると、よく、コピー機の経費削減の件ということで営業の電話がかかってきます。設計事務所でもコピー機は必需品。現在は、FAX、コピー、カラープリントの作業が一台でできるカラー複合機なるものを使っています。会社設立から早20年、これは確か4代目なのですが、設立当初から付き合いのある会社にずーっと依頼し続けています。

 

長期にわたりカウント料を支払っている私たちはお得意様だと思うのですが、その会社ものんびりしてるというか、新機種が出たからといって営業をかけてくることは一切ありません。こんなにしょっちゅう他社から営業の電話があるということは、取ったり取られたりの世界じゃないかと思うのですが、私たちは全くの無防備!でも、営業の電話があるたびに、「他社に乗り換える気は全くないので!」とお断りしています。我ながら、何故なんだろう?と考察してみました。

 

仕事がら、私たちの会社ではそんなにたくさんコピーすることもないので、2か月に1回のペースで、カウンターのチェックとメンテナンスのために担当のMさんが来てくれます。もう20年来のつきあいです。見た目はおっとり系なのですが、コピー機を分解清掃している姿は、「THE・技術マン」という感じでとっても頼もしい!機械いじりが大好きだそうで、私たちの困りごとを解決するために、両手を真っ黒にしながら一生懸命メンテナンスしてくれます。

 

本当は、改良された新機種のメンテの方が楽でしょうし、部品も揃っていて安心なのでしょうが、私たちの使用頻度や経済状況を察してか、「そろそろ新機種に組み直しませんか?」というような提案も全くありません。でも、困った時に相談すると、すぐに飛んで来てくれるその道のプロなのです。

 

物やサービスの購入動機で一番多いのは、「安いから」ではないでしょうか?だからこそ、経費節減という大義名分を掲げ、新規顧客開拓のため、せっせと電話営業をしてくるわけです。でも、安いことを理由に乗り換えた人は、更に安い会社に声を掛けられると簡単にそっちに乗り換えていくんですよね。私たちはMさんに、安さを求めているわけではないので、「こっちの方が安いですよ~」という他社の営業文句に全く利点を感じないのです。経費削減はやるべきことだと思いますが、コピーのカウント料をただ支払っているわけではないんですね。Mさんが担当に付いてくれている安心感に代金を支払っている…そんな感じなのです。何かあったらMさんに真っ先に相談しようと決めていますし、私たちが望まない提案営業などは一切しないことも分かっているので、とても心地よい関係なんだと思います。

 

「安いから」という理由だけで買っていい商品もありますが、そんな簡単な理由だけで購入を決定するわけにはいかない買い物もありますよね。自分は今何に対して代金を払おうとしているのか、立ち止まって考えてみると、安いことがすべてではないことに気づけるかもしれません。