個人間売買の当事者は、売主さんと買主さんです。そして、不動産の売買契約は当事者同士で交わします。では、不動産業者に仲介手数料を支払う理由はどこにあるのでしょうか?それは「取引の媒介をお願いします」という、媒介契約があるからです。
媒介契約には売主サイドと買主サイドで仕事の内容が違う部分があります。売買の対象となる不動産が決まった後は、お互いに調整しあいながら安全な取引を管理するという同じ立場になるのですが、その状態になるまでは、売主サイドは売却活動の、買主サイドは探索活動の「依頼と受諾」があるわけです。
ところが、買主サイドの不動産業者が、購入対象となる不動産が決まる前に媒介契約を取り交わすことはほとんどありません。つまり、依頼も受諾もしていない状態で、「こんな物件がありますよ、如何ですか?一緒に見に行きませんか?」としつこく連絡してくるわけです。依頼してないのに積極的にアプローチしてくるって、なんか、変だと思いませんか?
以前、業界の勉強会に参加した折、講師の方に尋ねてみたのです。「なぜ、物件を探し始める前に媒介契約を結ばないのですか?」と。するとその先生は、「契約なんて言葉を出したら客が身構えるでしょう!?そんなことしてたら仕事になりませんよ。」と言われました。更に「契約をするということは、こちらも責任が出てくるということです。買うかどうかもわからない客に無駄なサービスをすることにもなりかねませんよ。」と。
一体、誰のための仕事なの??
公益財団法人不動産流通推進センターが運営するホームページ「不動産ジャパン」を参照してください。購入の流れを知る(仲介編)に、媒介契約のタイミングと目的が記されています。
仲介手数料は成功報酬です。でも、成功報酬だからといって、売買契約までの道のりをいい加減にしていいという道理はありませんよね。