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【福岡発】住宅ローンの返済期間は何年にすべきなのか?

住宅ローンの返済月額は、「借入額」と「実行金利」と「返済期間」で決まります。借入額と実行金利は高ければ高いほど、返済期間は短ければ短いほど、毎月の返済額も大きくなります。

逆に考えると、借入額が小さくて、金利が低く、返済期間も長ければ、毎月の返済額も減り、その分、他の費用や貯蓄に回すことができるのです。借入額を小さくするためには、自己資金をたくさん投入する必要がありますが、必要以上に手持ち資金を減らすのは漠然とした不安を感じるところだと思います。と、なると、金利ができるだけ低い住宅ローンを探すことに集中しがちですよね。でも、それ以上に大事なのは、返済期間を何年に設定するかということです。

 

住宅ローンの利用者がどのくらいの返済期間で借りているか、住宅金融支援機構の「民間住宅ローンの貸出動向調査」から読み解くことができます。2017年度調査によると、平均では25.6年。また、25年超30年以下の割合が全体の42.4%、30年超35年以内は同7.9%です。「25年超」という表現ですが、普通は5年単位で設定することが多いと思うので、この42.4%に含まれる人の多くは30年で組んだと考えると、返済期間を30年以上に設定した人が全体の約半分はいるということになります。また「フラット35利用者調査」では、借入者のうち44.5%が30代、24.9%が40代となっており、平均年齢は39.8歳という結果が出ています。40歳の人が30年超の住宅ローンを組むケースが多いという事なんですね。「完済目標は定年前!」としたいところですが、30年でも70歳、35年だと75歳、既に勤労収入を得るのは難しい年齢になっています。

 

さて、建売物件などの折込チラシをご覧になったことはありますか?「家賃相当で憧れのマイホームが手に入る!」と銘打ったその資金計画例を見てみると、間違いなく、返済期間は35年になっているはずです。借入額3000万円を金利1%・35年返済で組むと、毎月の返済額は約8.5万円。これが返済期間20年にした途端、13.8万円になるのですから、家賃相当とは表現し難くなりますもんね。40歳の人が75歳まで返済し続けるなんて想定自体が無責任だと思います。もちろん、いろんな条件を自分で精査して、最終的に決断したのならいいんですよ。でも、「ほらね、買えるでしょ!?買いましょうよ!」と言わんばかりに、一番見栄えのする資金計画例を売る側が勝手に作るというのはよくないなぁと思うのです。

 

住宅ローンはいろんな組み方が想定できます。一番大切なことは、最後まで確実に返し続けること。毎月の返済額もさることながら、完済年齢を意識した無理のない返済計画を立てましょうね。