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【福岡発】マイホーム購入の頭金?手付金?自己資金? 似て非なるもの

不動産取引の際に飛び交うお金の呼称について考えてみました。

 

まずは「自己資金」という言い方。これは、金融機関から借り入れるものに対して、「自分で用意するもの」として表現されます。自分の預貯金だったり、親族からの援助だったり、出所は別にして自分で用意するお金です。このお金と住宅ローンの借入額を合わせた額が総予算となります。

 

一般的には総予算の2割は自己資金を用意した方が良いと言われています。マイホームを構える以上、最低でもそのくらい準備できてから購入すべき!という考え方もあり、また、フラットの前身である住宅金融公庫融資の上限が、物件価格の8割までという制限があったからだと言われています。(現在のフラット35は9割まで、場合によっては10割借り入れることも可能です。)

 

確かに自己資金の額が大きければそれだけ借入額を抑えることができるので、その後の支払いは無理なく継続できそうです。しかし、自己資金が貯まるまで頑なに買うことを控える必要はありません。もちろん無理して買うべきではありませんが、家計が安定して回るのならば、買うことを積極的に考えることも自由だと思います。

 

次に「頭金」 言葉の意味としては、「代金を一括ではなく分割して支払う条件のもと、最初に支払うお金」のことを指します。不動産購入は、書面で交わす売買契約のタイミングと、代金の支払いと物の引渡しの時期が合致しないので、売買契約時に代金の一部を支払う必要があるのです。

 

最後に「手付金」 頭金と似ていますが、もっと深い意味があるのです。そもそも、売買契約書や重要事項説明書には「頭金」とは表記せず「手付金」と表記し、その取り扱いについて詳しく記述があります。では、この「手付金」とはどのようなものでしょうか。購入の意思表明という意味では頭金と同じですが、もう一つ、売買契約後に解約する場合を想定した取り扱いがあるのです。

 

売買契約のタイミングと物件を手に入れる時期はずれると先ほど説明しました。まだ自分の手元に物を受け取っていないので、「買うとは言ったものの、やっぱりやめておこう」という気持ちの変化が起きないとも限りません。そのような時のために、買主は支払った手付金を放棄する(返還を求めない)ことで契約を解除できるようになっているのです。(逆に売主が契約を解除する場合は、受け取った手付金の2倍を買主に支払う必要があります。)

 

手付金の額としては、物件価格の5%~10%程度を支払うケースが多いようです。物件価格が2000万なら100万、3000万なら150万は最低でも必要だと言うことです。買主側としては、途中解約のペナルティを考えると少ないに越したことはないような感じもしますが、本当に買いたい物件なら、むしろ多めに手付金を支払い売主に本気度をアピールすることも必要です。あまり手付金が少ないと、「倍返ししなければ解除できない」という売主側のペナルティが効果的に働かないこともあります。

 

耳慣れない専門用語は難しく感じるものです。表面的には捉えにくい暗黙の意味を秘めていることもあります。言葉の意味をしっかり受け止め理解することが大事なのですが、普通の不動産業者は積極的には解説してくれません。一般消費者が情報不足の状態で太刀打ちできるような相手ではないのです。だから、行動に移す前に誰を味方につけるかを考え、一緒に勉強して準備が整ってから行動に出るのです。そうすれば、専門用語に翻弄されよくわからないままに買ってしまうというような失敗を遠ざけることができます。