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【福岡発】中古住宅購入の際は、近隣配慮の視点も大事

街を構成する建物は、都市計画により建築を許された場所にだけ建てることができます。建築する際には建築基準法やその他条例等に抵触しないように計画し、役所に確認申請を提出して許可された物だけが建築を許されるルールです。

 

建築基準法には、建築物自身の安全や衛生について規定されている条文と、その建築物と都市との関係について規定されている条文があります。前者を単体規定、後者を集団規定と呼びます。人が利用する建物として、あるいは都市に存在する建物として、どちらも守るべき重要な規定なのですが、特に集団規定に関しては、その建物だけの問題ではなく周囲の環境にも影響することなので、確実に順守することが求められます。

 

集団規定には、敷地に対する建物のボリュームを制限するものとして、建ぺい率、容積率、各種高さ制限があります。

まず、建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合のことです。ここでいう建築面積とは、建物を上空から見下ろした時の、水平投影面積のことです。超簡単に言うと、2階建の住宅の場合、1階の方が大きければ1階の面積になりますし、2階の方が大きければ2階の面積になります。その面積の割合が指定された建ぺい率以内でなければなりません。敷地における空地の確保を促しているのですね。

 

次に、容積率とは、敷地面積に対する延床面積の割合のことです。床面積の合計が、敷地面積の何倍(地域によっては1を下回ることもあり)まで許されるか、ということですね。

 

高さ制限は色々あって、絶対高さが決められている地域もありますし、道路の幅員や真北方向が影響を及ぼす斜線制限も存在します。ビルの上階が、斜めにカットされたようになっているのを見たことありますか?あれは正に斜線制限による規定を守って設計された形なのですね。

 

さて、これらの集団規定ですが、新築時には当然守られていたものが、その後の増改築によって規定を逸脱するケースが時々あります。小規模な増築やエクステリア工事は確認申請の必要がありませんので、集団規定に照らして計画するということが軽んじられる場合があるのです。悪意はなくても結果として法に適合していない状態になってしまいます。違法建築とまでは言いませんが、住宅ローンを借りる際、担保設定の足かせになる可能性は十分あります。つまり、銀行側が不適合状態を嫌い、住宅ローンの対象としてすんなり受け入れてもらえないケースがあるということです。それでもその物件が欲しいなら、不適合状態にあるというネガティブ情報を売主さんに受け入れてもらって、適合状態にすることを条件として交渉するなど、適切な対応とスケジュール管理がより重要になってきます。

 

想像できると思いますが、敷地一杯に高さ制限を無視した建物を建てたりすると、近隣への通風・採光に影響を及ぼしかねません。それを疎ましく思っている近隣住民もいるかもしれないのです。集団規定を順守するということは、自分にとっても近隣住民にとっても良好な住環境を維持するために必要なことなのです。