インスペクションの本当の目的は??
調査や診断のことを「インスペクション」と表現するようになって久しいですが、その目的や方法、かける時間や費用はまちまちです。インスペクションを手掛ける技術者は「インスペクター」と言われていますが、彼らの有する資格は、民間団体が独自に作った制度による登録制であり、インスペクターの知識や経験にばらつきがあるのも否めません。
建物の調査や診断をすることは、その後のリフォーム計画や維持管理計画に役立つことは間違いありませんので、「インスペクション」を行うことは大変有意義なことです。今までは、所有者による持ち家の調査・診断がメインでしたが、中古住宅の売買時にこそ、この有意義なインスペクションを役立たせるべきということで、平成28年に宅地建物取引業法の改正が行われました。その際に、このインスペクションを手掛けるインスペクターは、「既存住宅状況調査技術者=登録講習機関の講習を受けた建築士」に限定され、調査方法や報告書の体裁が基準化されました。
インスペクションは、どちらかと言えば買主さんに必要なもの
と言ってもこの改正、「不動産取引の媒介契約を締結する際、宅建業者が「建物状況調査(インスペクション)」事業者のあっせんの可否を示す」という非常にゆる~い縛りが義務付けられただけです。「すべての物件はインスペクション後でないと売却活動をしてはいけない!」というようなものでは全くない。つまり、「あっせんができるかどうか、インスペクションをするかどうか、売主さんとちょっと話題にしてくださいね。」という程度のものです。あくまでも、インスペクションを実施するかどうかは売主さんの意向によるということなのです。
費用も時間もかかるインスペクションを、売主さんがしたがるかというとそうでもない。むしろ実施したいと思うのは買主さんの方です。その目的はおそらく、
- 建物の現状を知り、隠れた瑕疵があれば、売主サイドで費用負担してほしい
- 自分のリフォーム希望が叶うのか、購入前に検討したい。
- 劣化改善のために費用がかかるのなら、リフォーム費用と合わせてどのくらい用意すればいいのかを知り、その上で借入額を決定したい。
というようなものではないでしょうか??
宅建業法で言うところのインスペクションでは不十分
とすると、宅建業法でいうところの「インスペクション」では情報不足です。このインスペクションの目的は、日常生活において支障があると考えられる劣化事象の有無について広く浅く把握することなのです。かたや買主さんが求めているインスペクションの目的は、劣化事象の生じている範囲や不具合の原因・程度を総合的に把握し、リフォーム計画に落とし込むことです。
しかも、そのために必要となる費用を知り、資金計画を練りあげないことには購入の最終決断はできないのですから、不動産取引とインスペクションの両方を同時進行で管理できる助っ人が、絶対に必要なのです!
そう思いませんか?? 気になる人はこっち!インスペクション・メニュー