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【福岡発】年金受給開始年齢の引き下げを考える

 みんな歳をとるんだから  

マイホーム購入を検討中の皆さんにとっては、「年金なんてまだまだ先の事!」と感じている人も多いかもしれません。家も買わなきゃいけないし、子どもの進学などを中心に、イベントごともたくさん控えていますからね。でも、それらを一つ一つ終えていくと、自分たちの老後生活に想いを馳せるようになるのです。

仕事をして収入を得ることが生活の基盤ですが、歳を取ってそれができなくなった時、頼りになるのはやっぱり年金なのです。

 

鼻先に人参?

年金制度は実に複雑ですが、ざっと言うと、60歳まで年金保険料を納め、65歳から年金を受給する制度です。現役時代の働き方や給料によって納める保険料も違いますし、受け取る年金額も違ってきます。また、年金受給開始年齢も、最長5年間延期(繰り下げ)することができます。働き続けることで収入が得られるなら、年金受給を延期してもいいわけです。しかも、繰り下げると年金額が増える仕組みになっています。その額は1ヶ月遅らせる毎に0.7%ずつ。仮に、5年間繰り下げて70歳から受給をスタートする場合、増額率は、0.7×12×5=42%となるのです。ちょっと見は、凄くお得な感じがしますね。

この繰り下げ受給、現在は70歳までが限度なのですが、2022年4月からは、75歳まで繰り下げることが可能となりました。同じように計算すると、10年繰り下げることで84%も支給額が増額されることになります。 

こんなにお得な選択肢を提示されると、ちょっと考えちゃいますよね。65歳から支給される通常の年金額では損した気分になりそうです。

 

必要な額を確保できればいいのでは?

とかく損得で考えるから、おかしくなるんですよね。据え置くだけで増えるのは有難いことですが、65歳からの生活をやりくりしてまで繰り下げるなんて、なんか変だと思います。

65歳を過ぎても仕事を続け、年金受給せずとも生活が成り立つなら、繰り下げも一つの選択肢になります。ただ、受給後何年生きられるかは誰にもわかりませんので、お得ばかりを追い続けるのも得策ではないように感じます。

誰にとっても大命題は、生活に必要な額が定期的に入ってくる状態を維持することです。そのためには、生活スタイルが変わっても、常に働き続けることが大切です。それが将来の蓄えや年金額に影響を及ぼすということを、若い世代の人達も少し想像してみるといいかなと思います。 

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