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【福岡発】がけ条例があるってことは危険ってことでしょ!?

大阪で発生した崖崩れによる住宅崩壊

大阪で発生した崖崩れの映像があまりにも衝撃的で、テレビを食い入るように見てしまいました。

崖崩れの映像といえば、土砂降りの山道など山間部で発生するイメージが強かったのですが、住宅街で、しかも雨も降っていないのに、あの高さから住宅もろとも崩壊してしまうなんて、考えただけでゾッとします。

でも、あのような崖の上の住宅は、福岡にもたくさん存在します。既に存在する既存の住宅については、強制撤去するわけにもいかないので行政としては放置状態ですが、新築する場合は「がけ条例」が立ちはだかり、危険な崖地に家を建てることを簡単には許可してくれません。

安全第一なのですから厳しくても仕方ないのですが、新築するつもりで崖地を購入する時は、設計に制約を受ける、あるいはそれをクリアするためにかなりの費用がかかるということを覚悟しておく必要があります。

がけ条例とは?福岡県の場合

がけ条例の話を簡単に説明します。そもそも大前提として、地盤面が水平面に対して30度を超える傾斜度をなす土地で高さが3メートルを超える場合には、その崖に接する上下の土地には家を建ててはいけないことになっています。

ただ、こうすれば建ててもいいですよ、という例外的な措置の方法について色々記述があるのですが、これが結構非現実的。

例えば、45度の傾斜度を有する高さ3メートルの崖があったら、崖上の敷地なら崖の下端から水平距離で6メートル下がんなさい!崖下の敷地でも同じように崖の上端から水平距離で6メートル下がんなさい!って、そんなことしてたら家建ちませんよね。

45度の傾斜ということは直角二等辺三角形でしょ!? ということは、がけ自体の水平距離が3メートルあるわけですから、家を建てようとしている平面の土地の際から3メートル下がることになります。大阪の事故現場のように急傾斜で高さがあったら、もっと下がる必要があるのです。それくらい崖地というのは危険な場所だということです。 

現実的に家を建てるとなると…

現実問題として、この崖上の敷地を最大限有効に使うためには、鉄筋コンクリート造の垂直擁壁や人工地盤を新設するか、建物の直下に杭を打つしかありません。同じく、崖下の敷地については、崖が崩壊した時に居室に土砂が流入しないように、土留施設を設置する、あるいは、崖に面した居室は無窓とし、更に外壁が土砂で破損しないような構造にするなど、安全性を確保するための措置を講ずる必要があります。

どっちにしてもかなりのお金がかかります。資金計画や予算配分に影響が出ること間違いなしです。

中古住宅を購入するときは要注意

崖地に建つ中古住宅の購入を検討する時は更に注意が必要です。崖の劣化状態を確認することは難しく、誰も安全性を保証してくれないということを認識してください。景色が良いとか好ましい部分も確かにあるのかもしれませんが、安全ではないと最初から分かっているのに買うか?ということです。

がけ条例が定められる前に建ったものや、旧式の擁壁でがけを固めている物件は要注意です。そのような物件こそ崖ギリギリまで家が迫っている物件が多いのでは? ということは、現行のがけ条例をクリアしていない可能性が高いのですから、当然に危険だということなのです。

 

もう一つ、悩ましいことがあります。崖の上に建つ中古住宅を購入すると、その危険な崖も所有することになりますので、管理責任が発生するということです。

今回の大阪の事故も、基本的には崖の所有者の管理責任が問われることになるでしょう。でも、崖の管理方法や劣化の診断・補強工事などは、木造住宅の耐震診断のように確立されたものはありません。せいぜいヒビ割れを補修する程度のことしかできないのではないでしょうか。あまりにも心許ない対策と言わざるを得ません。

 

今回の崖崩れによる住宅崩壊事故は、地震による倒壊事故と同じくらい危険で重大なものです。土地の持つ特徴を知り、建物の性能を事前に確認することは、マイホーム購入にとって不可欠なことではないでしょうか? 見た目の良さや一時の感情に流されることなく、本当に重要なことは何なのか、今一度、立ち止まって考える賢さが求められているのです。

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