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【福岡発】空家問題の原点は「所有者不明土地」の増加にある

近所に空家があると不安を覚えるものです。人が住まなくなった家は劣化の進行も早いので、どんどん荒れ果てていきます。無法地帯となった敷地には草が生い茂り、ゴミが散乱し、動物の住処となって異臭が発生することも…。不審者の出没や放火の心配など、心穏やかではいられなくなります。

どうして空家は発生するのでしょうか?その原因の多くは相続によるものです。相続した人が積極的に利活用できない状態にあるために、あるいは、放置していても法的には咎められないので、そのままにしているというケースがあります。相続が度重なると、いよいよ所有者を特定することが困難になり、近隣住民の不安をよそに放置状態が固定化されていくのです。

 

不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない土地や、判明してもその所在が不明で連絡がつかない土地のことを「所有者不明土地」と言います。国土交通省の調査(平成29年実施)によると、全国におけるこのような土地の割合は22%、その内、相続登記未了によるものが66%、住所変更登記の未了によるものが34%となっています。

放置された空家を利活用するためには、相続人への積極的な働きかけが必要ですが、現在の所有者が誰でどこにいるのかが分からなければ、それさえもできません。そこで、不動産登記制度の見直しが行われることになり、相続登記の申請が義務化されることになりました。但し、施行は令和6年4月1日。う~ん、随分先の話ですね。周知徹底には時間がかかるということなのでしょうか?そうなんですよ。それもそのはず、正当な理由がないのに違反した場合は過料の適用対象となるみたいなのです。

相続登記の申請はそもそも任意とされており、かつ、それをしなかったからといって相続人が不利益を被ることは少ないです。相続した土地の価値が乏しく、売却も困難であるような場合には、費用や手間をかけてまで登記の申請をする意欲がわかない…というのが本音。ならば義務化して、ついでに罰金も明文化しちゃおう!という考えなのでしょう。

 

空家を放置していいことなんて何もありませんから、この制度改正で、これ以上空家問題が増加しないように歯止めがかかることを期待したいものです。

空家の取り扱いに関する一連の法改正の中には、来年4月から施行されるものもあります。所有者不明で手が出せないような土地・建物に対して、利害関係人が地方裁判所に申し立てれば管理人を選任することができる、という画期的なものです。管理人は裁判所の許可を得れば対象土地建物の売却等もできるようになりますから、公共事業や民間取引の活性化にもつながりそうですね。冒頭に列記したような空家問題を引き起こす前に、法的に対処する方法が確立されたということは、大変喜ばしいことだと思います。 

物件検索よりも大切なこと、それは「信頼できる相談相手に巡り合うこと」

 

対面相談が何故大切なのか分かり易い動画にしました。是非ご視聴下さい。


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