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【福岡発】耐震補助金の交付決定がずれ込んだ話

県の耐震アドバイザー制度もあるけど…

A町にお住まいのそのお客さん(以下Bさんとします。)から初めて電話をもらったのは、一月下旬のことでした。

Bさんは、県の耐震アドバイザー制度を使って自宅の耐震診断を行ったそうです。その結果、このままだと倒壊の恐れがあるということがわかり、補強工事ができる工事店を探しているとのことでした。

 

なるほど、県の耐震アドバイザー制度は診断結果報告も郵送で、その後のことはノータッチ。工事を希望する場合は自分で探さなければいけないという、なんとも中途半端な制度なのです。

つまり、たとえ診断に訪れたアドバイザーが工事可能な会社に所属していたとしても、「勝手に営業まがいの事をするんじゃない!」という変な縛りがあるのです。

Bさんを担当した耐震アドバイザーは、とても丁寧に診断してくれたそうですが、残念なことに工事はできない人でした。そこで自らネットで検索し、「いえあーる」にたどり着いたという事でした。

補強工事のためには、再診断が必要

補強工事を行うためには補強設計が必要になるのですが、私たちがその設計を行うためには、有料の耐震診断を受けていただく必要があります。

県のアドバイザーが作成した設計図を利用したいところですが、他社が作成した補強案をそのまま使うことはできませんので仕方ありません。

 

ご説明を差し上げたところ、ご理解いただき、工事を前提にした準備に取り掛かることになりました。

また、Bさんは、A町の耐震補助金制度も利用したいというご要望がありましたので、申請準備も平行して進めることにしました。

福岡県下の耐震補助金制度は…

耐震補助金の受付は、福岡県下の市町村が窓口になっています。福岡市や北九州市は、補助金に割かれた予算も多く申請件数が多いので、窓口の担当者は手慣れた感じで安定感があります。が、受付件数に限りのある市町村は、県の担当者にチェックしてもらう所も多く、A町もその一つでした。

 

早速、Bさんと一緒にA町の耐震補助金要綱を読み解きながら、スケジュールを組んでいきました。この補助金制度には、交付決定するまでは着工はおろか工事契約もしてはいけないという、厳しい取り決めがあります。また、申請前に発注者(Bさん)が事前相談に赴くことも義務付けられています。

 

4月から新たに始まる期の予算で、できるだけ早く工事が実施できるように、お互いの都合をすり合わせながら予定を立てていきました。

そして、2月に耐震診断を行い、3月初旬には、Bさん自ら資料を持って町役場に相談に行ってもらったのです。役場の担当者から申請書類をその場で受け取り、予定通り、4月1日に申請してもらいました。

何やってんのよ、まったく…。

要綱には、申請後1週間ほどで交付決定するということでしたので、ゴールデンウィーク前には余裕をもって工事が完了すると、私たちは思っていました。

が、一週間以上たっても連絡がありません。痺れを切らし、Bさんに確認をお願いしたところ、A町の担当者は悪びれた様子もなく、「4月から申請書類が新しくなっているので、書き直しに来てください。」と言い放ったそうです。

 

なんですと!

こっちは要綱を守って工事契約や着工のタイミングを待っているというのに、なんの音沙汰もなく、挙句、渡した書類が間違っていたとは…。

しかも、Bさんが電話して初めてそんな事態になっていることが分かったわけですから、ほんとに、何してんの??って感じです。

 

Bさんが役場に行って再提出したのが9日、それから書類は県に回され、戻ってきた後A町が交付決定したのは23日のことでした。

 

みなさん、どう思いますか?

「旧耐震物件の耐震補強は急務だ!」とか何とか言ってるけど、こんな程度なんですよ、実際の業務に携わる人は…。

地震はいつくるか分からないのにね。

 

お陰で工事の段取りはガタガタになり、ゴールデンウィーク前に完了するのは難しくなってきました。

有難いのは、Bさんが私たちに信頼を寄せてくれていることです。多少工事がのびのびになっても構わないから…と言ってくださるのです。ほんとうに、ありがたいことです。

役場の担当者にはがっかりですが、私たちの仕事は、Bさんの安心のために耐震補強工事を早く完了させることですから、今からはその一点に注力したいと思います!

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