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【福岡発】インスペクションは実のところ、そんなに大層なものではないです。

少子化と高齢化に伴う人口減少は、家余りの状態を生み出しています。最近では、新築戸数を増やすことよりも中古住宅を流通させることに、国の目標が変わってきています。補助金制度や税制優遇措置もある程度充実し、中古住宅市場は活発化を見せているのです。

 

が、買主さんが不安なく中古住宅を購入しているかというと、そうでもない・・・瑕疵に関する紛争も後をたたない状況です。せめて購入前に建物の状況がわかれば、安心して売買できるのに…。ということで、国が先導する次なる一手が「インスペクション(状況調査)の普及」です。

 

でも、このインスペクション、建築士的な立場から言わせてもらうと、そんな大層なものではありません。制度上、既存住宅状況調査技術者講習を修了した建築士でなければ、宅建業法で言うところのインスペクションは実施できないことになっていますが、調査方法や範囲が限定的で、費用をかけてまでやる意味がどのくらいあるのだろうか??と正直思うのです。もっと言えば、調査費用をいただかなくても、物件見学に同行すれば、建物状況はある程度予測がつくものです。(あ、木造住宅建築に従事している建築士なら、という意味ですよ。)

 

不動産屋の「この家はしっかりしてますから大丈夫ですよ~」という根拠のないセリフより、よっぽど説得力のある状況説明をしてあげられます。費用をかけて建物調査を実施するなら、耐震診断(床下・天井裏の目視検査を含む)の方が情報収集量も圧倒的に多いですし、リフォーム計画に反映する意味でも価値あるものだと思うんですよ。

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