· 

【福岡発】「頭金ゼロ!毎月の支払は家賃並み!」は、持続可能な本当の話なのか?

新築マンション分譲のチラシによくありますよね、このセリフ。これがもし本当なら、「貯蓄ゼロで毎月ギリギリの家計でも、住宅ローンの返済月額が家賃以内ならやっていける!」ということになりますよね!?本当なのでしょうか?

 

そもそも頭金とは何か?代金を一括で支払うことができない時、先に支払う代金の一部のことです。例えば売買契約時に代金の10%を支払い、決済・引渡し時に90%を支払うという場合、頭金は代金の10%ということになります。

 

これがゼロとは一体如何に?要は、住宅ローンを代金100%で組んで、決済時に90%を支払ったあと、頭金として先に支払った10%分は自分の口座に残るので穴埋めできますよってことです。通常の買い物であれば、「購入の意思表示」と「物の受け取り」と「代金の支払い」は同時が基本です。が、住宅ローンを組んでマイホームを購入する場合は、物の受け取りや代金の支払いより先に、購入の意思表示である売買契約を結ぶ必要があります。この時に、代金の一部である頭金を支払うわけですね。この頭金が必要ないなんてケースはあるのでしょうか?

 

分譲マンションの販売業者が、「頭金を少なくして売りやすくする」ということはあるかもしれませんが、中古住宅の個人間売買においては売主さんも一般消費者です。売買契約の裏付けとして頭金を要求するのは当たり前ですよね。「2か月後に穴埋めできれば、今このお金が出ていっても大丈夫!」という家計なら行けそうですが、貯蓄ゼロだと頭金を捻出できないので、売主さんが売ってくれる可能性は低くなると思います。

 

次に、住宅ローンの返済月額が家賃以内なら大丈夫なのか?についてです。ここで、賃貸と持ち家の管理責任の違いについて考えてみましょう。賃貸の場合、設備機器の故障や生活に支障をきたすような不具合については貸主の責任で補修等が行われます。持ち家の場合はどうでしょう?すべて所有者の責任において管理していかなければなりません。マンションの場合は、管理組合に対して管理費や修繕積立金という名目で支払う義務がありますし、戸建ての場合でも、長期修繕計画を立案し計画的に資金をプールする必要があります。また、所有権を有するということは固定資産税や都市計画税等を納める義務も発生するということです。更に、購入したマイホームの方がそれまでの住まいよりも間取り的に余裕があるケースが多いので、電気代や水道代など光熱費も上昇する傾向にあります。

 

住宅ローンの返済月額と家賃だけを比較してもダメみたいですね。それなのに、貯蓄が少なく毎月の家計もギリギリという状況にある人が、ポーンと新築マンションを購入することがあります。家賃と同等できれいなところに住めるならお得という判断なのでしょうか?もしくは、家賃という経費としてお金を捨てていくよりも、資産という住宅ローンの返済に切り替える感覚でしょうか?

 

自分の決断は正しかったと10年後も思えるように、今、購入する前に検討を尽くすことが大切です。

こんな関連コラムも読んでみませんか?