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【福岡発】自宅を安全・快適に保つことは、ある意味、社会的責任なのかもしれない。

私たちの会社は、4人全員が役員であり従業員もいない小さな会社です。なので、自分のスキルがベースとなる仕事以外に、会社を運営するための決められた仕事もこなさなければなりません。経理や総務の分野がまさにそれ!専門ではないけれど、社会的にやらなければならないことを過不足なく行う責任があります。

 

先日、算定基礎届(その年の社会保険料を決定するために必要な届出)の作成に関する説明会に参加してきました。年末調整の説明会と同じく毎年のことですが、「こうやって社会が構成されお金が回っているんだなぁ」と強く感じます。さて、社会保険といえば厚生年金と健康保険の話ですが、協会けんぽが平成30年度から新たに導入した「インセンティブ(報奨金)制度」の話がとても興味深かったのでご紹介したいと思います。

 

そもそも協会けんぽ(主に中小企業が加入する政府管掌保険の後継、大企業の場合は独自の健康保険組合が組織されていることもある)における健康保険料率は、全国一律というものではなく支部によって高かったり低かったりするものだそうです。そこにインセンティブ(報奨金)の財源となる保険料率を0.01%盛り込み、評価指標に基づいた各支部の取り組み結果をランキング付けした上で、上位過半の支部に対して得点数に応じた報奨金を付与して保険料率の引き下げを行うというものです。評価指標として掲げられているのは、特定健診等の実施率や指導対象者の減少率、ジェネリック医薬品の使用割合などです。「生活習慣を改善することで病気になりにくいからだを作り、定期的な健康診断の実施で病気の早期発見早期治療を徹底し、医療費の削減を実現したい!」という社会全体の大命題が見え隠れするようです。苦肉の策が報奨金制度…ということでしょうか。

 

さて、医療費という切り口からすると、予防や管理が可能な病気ではなく、突発的な事故についてはどうでしょう。高齢者の事故の約8割は家庭内で起きていると言われています。確かに、外出の機会も減り自宅で過ごす時間が多くなるわけですから、この結果には頷けます。転倒転落による怪我がもとで寝たきりになるケースや、屋内の室温差による心臓や血管の突発的な疾患で重篤な事態になることもあるそうです。いわゆるヒートショック関連による死亡者数は交通事故死の3倍以上との統計結果も出ているほど。

 

建築の分野でも、高齢者のバリアフリーリフォームに対する補助金や減税の制度があります。家庭内のこととはいえ、事故防止や医療費削減という観点から、改善を促すべきということなのでしょう。そう考えると、必要に応じて自宅をリフォームすることや定期的なメンテナンスを行うことは、社会的責任とも言えそうですね。