· 

【福岡発】「安心R住宅」の出現でどう変わる?国の思惑と業界の動きはマッチするのか?

国の肝入り「安心R住宅」

国土交通省で推進している「安心R住宅」制度は、従来の既存住宅(中古住宅)のイメージを一新することにより市場における既存住宅(中古住宅)の位置付けを向上させ、流通拡大を促進するための制度です。

 

制度設計は国主導ですが実際の運営は業界団体が行うことになっており、その団体も、厳しい要件をクリアして事前登録をすることが必須となっています。2018年4月1日からスタートしたこの制度、出足はかなり鈍い様子。制度がスタートする前から登録受付は始まっていましたが、現在やっと8団体が登録を済ませたところです。

 

宅建協会はとりあえず、買取再販物件だけに導入

ハトマークでお馴染みの宅建協会も、全国宅地建物取引業協会連合会として8月27日に登録されました。ちなみにうさぎさんの全日本不動産協会は早かったですよ~、3月13日には登録完了してましたので。宅建協会も遅ればせながら準備が整ったということで、これから、福岡県宅建協会が運営する「ふれんず」にも「安心R住宅」の称号が付与された物件が掲載されるようになるのでしょう。検索条件を絞り込む「住宅性能等」欄で「安心R住宅」が選択できるようになっています。が、今のところ登録物件はなさそうです。

 

この制度、業界全体をクリーンアップする一つのきっかけにはなりそうですが、果たして登録物件が順調に増えていくかは疑問です。なにせ称号を得る為には手間も費用もかかりますので、売主さんは勿論のこと、売却活動をする業者自体があまり積極的には勧めないような気がするのです。宅建協会連合会も、まずはとりくみやすい買取再販物件を中心に普及を後押しする考えのようです。いずれにしても「安心R住宅」の称号を得る為にかかる費用は物件価格に上乗せされることになるので、結局は買主さんの負担ということになるのでしょう。

 

必要な付加価値なのか?安心R住宅は

買主さんの不安をなくして市場を活性化したいという国の思惑と、利益をあげてこそという業界の動きが、微妙にずれているのはしかたのないことなのかもしれません。

 

たとえ「安心R住宅」でなかったとしても、現状を知り自分でリフォーム計画を立てることは可能です。なんだかわからない付加価値に惑わされることなく、自分で決断できるようになりたいものですね。

こんな関連コラムも読んでみませんか?