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【福岡発】マイホームと人生を考える…葬儀代は誰の負担?

人生最後の大きな支出

ライフプランとキャッシュフローを考えることは、人生を愉しく賢く生き抜くためにとても大切なことです。結婚や出産、マイホーム購入や事業立ち上げなど、ライフイベントには何かとお金がかかるもの。そして、人生の最後にかかるお金が葬儀代です。

 

ライフプランニングにおいて、葬儀代を見積もることはなかなか難しいものです。葬儀にもいろいろな形態がありますし、形態によってかかるコストも大きく変わってくるからです。葬儀代を安く済ませたいという方は、一般的に行われる通常の葬儀ではなく、最近話題になっている家族葬に魅力を感じられるかもしれません。

 

葬儀代そのもので比較すれば、家族葬はかなり低コスト。でも、通常の葬儀は香典収入が見込める分、トータルで考えれば持ち出し額はそれよりも少なくて済むのかもしれません。これは結婚式においてもいえることですが、結婚式ほど収支計算が簡単ではありません。結婚式は招待が基本なので見込み収入がつかみやすいものですが、葬儀は個々人の意思による参列ですから、収入見込みを立てるのは難しく、すべての収支が出そろったところで、結果どうだったかを確認することになるのです。

 

自分の葬儀代は誰が負担するのか?

世の中には、終身保険という生命保険があります。死ぬまで保険契約が継続するので、必ず保険金が受け取れるというものです。これを「葬式代」と称して加入を勧めたりすることもあるようです。実際に葬儀を執り行うのは本人ではなく遺族ですから、その原資として、本人が生前から備えているというイメージです。

 

相続の観点から言うと、相続する額(貯蓄残高)の方が、葬儀をはじめとするもろもろの手続にかかる費用よりも多ければ、必ずしも終身保険というカタチで遺す必要はないわけですが、いずれにしても、遺族に負担をかけたくないという気持ちは日本人として誰もが持っている感情なのかなと思います。その気持ちが、割安で負担の少ないイメージの家族葬や直葬に向かわせているのではないかとも思うのです。

 

この社会的な変化の要因には、長寿化と核家族化も少なからず影響しているようです。それを示す数字の一つに厚生労働省「人口動態調査」(平成29年)の結果があります。これによれば、昭和30年には自宅死が77%、病院死が15%でした。それが昭和52年を境に自宅死と病院死が逆転、現在では自宅死がわずか13%で、病院や高齢者施設で亡くなる割合が85%となっています。

晩年を過ごす場が自宅や地域ではなく、遠く離れた病院や高齢者施設であるために、残された遺族が、地域の人を巻き込んで執り行う一般的な葬儀形態を躊躇してしまうということもあるようです。

 

自分と家族の自己決定が大事

そもそも葬式や結婚式は共助の精神で成り立つものでした。費用と労力、両方の負担を地縁や血縁で補い合うのが本来の考え方だったのです。今はどちらも専門業者が担う時代。商取引としての意味合いが強く、お金を払えば何でもプロが代行してくれます。

 

自分と家族の意思で、必要十分な葬儀の仕方や費用の掛け方を考え、ライフプランに落とし込むことが大切ですね。