国を挙げて耐震化を促進
住宅性能を考える時、最も重要なものの一つに「耐震性能」があります。断熱性や防犯性など気になる性能はいくつもありますが、ダントツで確保すべきは耐震性です。地震で倒壊するような住宅では、元も子もないのです。
国は、法律を定めて耐震化率の向上を推進しています。耐震改修促進法に基づく国の基本方針では、住宅の耐震化率について、平成32年(令和2年)までに少なくとも95パーセントにすることを目標としています。更に、平成37年(令和7年)までに耐震性が不十分な住宅をおおむね解消することを目標とし、耐震化の促進を図っています。
耐震改修助成金制度
この基本方針に則り、国や地方公共団体では、様々な支援制度を設けています。中でも、直接的な援助として有効なのは、助成金制度です。数年前までは、限られた地方公共団体にしかなかった制度ですが、現在では、ほとんどの市区町村がこの制度を導入し、耐震化の促進に力を入れています。
が、その額や要件はまちまち。温度差があるのです。議会で予算組みをしてこその助成金制度ですから、それぞれの市区町村が抱える事情で取り組み方も違ってきます。
福岡市の取り組みは早く、西方沖地震直後から助成金制度の活用が始まりました。当初は、倒壊した場合に公道に影響を及ぼす可能性のある物件に限るなど、対象となる物件の要件がかなり厳しかったのですが、現在は、昭和56年5月以前に確認申請を経て建てられた木造住宅であれば、優先的に耐震補強すべき物件ということで一様に対象となります。補助上限額も、当初は30万円だったものが現在は90万円ですから、個人が前向きに耐震化を検討する良いきっかけになっていると思います。予算についても毎年100軒程度は確保されているようで、告知にも余念がありません。
翻って我が町・志免町はどうかというと、対象となる物件は福岡市と同様ですが、補助上限額は40万円止まりです。しかも、町内業者に限るという条件付き。この条件を見たとき、耐震化促進の助成金制度といいつつも、町内でお金を回すことに重きを置くという側面が見え隠れして、中途半端な感じがしました。しかも予算は2軒分とのこと。まさに温度差を感じます。
中古住宅購入の際は気をつけて
国が発表した、平成25年時点の住宅における耐震化率は約82%です。個人資産の性能向上のために税制優遇や助成金の制度があるなんて、普通は考えられないことですよね。耐震性能を確保するということは、それだけ大事なことなのです。
中古住宅購入を検討しているのなら、その物件が保有する耐震性能について、是非考えてみてください。