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【福岡発】現役建築士は定期講習で初心にかえる

3年に一度の定期講習

先日、建築士の定期講習会に参加しました。建築士事務所に所属する建築士はすべて、3年に一回、この定期講習を受講する決まりになっています。私は二級建築士、代表の屋敷は一級建築士なので、毎回揃って一日講習を受講します。今回が3回目なのですが、実のところ、以前はこのような制度はありませんでした。

 

耐震偽装問題が建築業界を変えた

何がきっかけでこの制度ができたのか、すべてはH17年に発覚した耐震偽装が発端です。一建築士がマンション等の構造計算書を偽装したのも驚きでしたが、この偽装について、設計図書の作成段階でも、建築確認の段階でも、工事施工の段階でも、中間・完了検査の段階でも、見抜けなかったというずさんなチェック体制に非難が集中しました。どの段階でも多くの建築士がかかわっていたはずなのに…。

 

実際に、多くのマンション等の耐震性が不足している事態が確認され、住民の安全・安心に大きな支障をきたし社会問題に発展しました。テキストに記載された言葉を使うなら、まさに、建築士を含む建築業界への不信が広がり、建築確認や検査体制に対する国民の信頼を失墜させたのでした。

 

建築士の資格・免許は、どの分野を専門にしていても一律に付与される免許です。一級と二級では携われる物件の構造や規模の違いはありますが、それは対外的なことであり、事務所内の実務に於いては、免許の有無、種類を問わず、皆が設計・施工監理を分担しながら業務をこなしているのが実情です。だからこそ、事務所の開設者や管理建築士の責任は重いのです。

 

免許は一律だけど、専門分野はそれぞれ

消費者からは同じような建築士事務所に見えても、専門分野はそれぞれです。大きなビルを設計・施工する会社もあれば、住宅のような小規模な建築物を専門に扱っている事務所もあります。建築基準法をはじめ、関連する法規は山ほどありますが、携わっている業務に関連するものはほんの一部だったりします。3年に一度のこの講習会は、お金も時間もかかるので、正直、負担に思うこともありますが、建築行政の移り変わりと、その改正がなぜ行われたのかを振り返るという意味では、とても勉強になります。

 

建築士法に明記された私たちの職責は「常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、建築物の質の向上に寄与するように、公正かつ誠実にその業務を行う」ことなのです。

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