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【福岡発】ハザードマップは自然災害時の避難に活用してこそ!公助には限界がありますから。

異常気象と自然災害の多発

秋晴れの日曜日、爽やかな風に揺れるコスモスが気持ちよさそうです。こんなにいいお天気が続くと、今夏の殺人的な暑さや、記録的な豪雨・不気味な台風進路も過去のことのようですが、昨今の異常気象は私たちの生命と財産を脅かす存在であることを忘れてはなりません。適切な避難が出来なければ命を落とすこともありますし、対策不足で甚大な被害を受けることもあります。ひとたび自然災害が発生するとライフラインの寸断により都市機能は麻痺します。自分や家族の命と財産を守るためにどうすべきか、行政に頼るのではなく自分たちで考え行動する時代になってきました。

 

ハザードマップは過去の経験と資料から導いた予測図

7月、西日本を襲った集中豪雨ですが、「50年に1度」とも言われる記録的な雨量となりました。特に岡山県の浸水被害は広範囲に及び、ダムの放水タイミングの影響もあったのか、倉敷市真備町では、一帯が水没してしまうという大規模な浸水被害が発生しました。今回の浸水被害があったエリアについて、国土地理院が推定最大浸水深をマップ化した情報を公開しています。

 

<国土地理院> 平成30年7月豪雨に係る岡山県倉敷市真備町の推定浸水範囲の変化

 

一方で、倉敷市でも予想浸水エリアのハザードマップを公開していました。

 

<ハザードマップ> 倉敷市真備町エリア(参考:改正された現在のハザードマップ)

 

この2つの地図を見比べると、予想浸水エリアと実際に浸水被害が発生したエリアがほぼ一致しているのです。奇しくもハザードマップの正確性を裏付ける結果となってしまいましたが、当然と言えば当然。なぜならハザードマップは過去の災害の記録と地質調査から予測されたものだからです。土地の成り立ちを鑑みることにより、浸水被害が出そうなところ、がけ崩れや土砂災害が起きそうなところは予測がつくのです。

 

公助に頼り過ぎず、共助や自助の精神で乗り切るしかない

科学技術の進歩によって正確に予測することが可能になったとしても、実際の避難に役立たせないと何にもなりません。公助だけに頼るのではなく、共助や自助の精神で、自然災害をいなすしかないのです。

 

かつては、強い建物や街を作ること、つまりハードを固めることで災害に備えるという考え方が一般的でしたが、このように想定以上の自然災害が多発する現代においては、危険箇所を市民に伝えること、つまりソフトを充実させて逃げることを促すという考え方に変化してきているのです。

 

人間、自然災害には太刀打ちできないのですから、せめて、自分が住んでいる場所はどのくらい危険なところなのか、知ったうえで生活するしかないでしょう。「資産価値が下がるから公表するのはやめてくれ!」なんて、そんなことを言っている場合ではないのです。