ライフラインは生活に不可欠
中古住宅売買に関するトラブルで頻繁に報告されているものの中には、ライフライン施設に関するものがあります。毎日の生活を支えるライフラインですから、通常使いができないようでは困ります。
水が出ない、排水が詰まる、テレビが映りにくいなど、住んでみないと確認できないような項目は、売主の告知だけが頼りです。
売主には告知義務がありますから、後でトラブルにならないように、知っていることや感じていることは積極的に告知すべきです。私たち仲介業者も、次に住む人のことを考えて、正直に告知してもらえるように促す責任があるのです。それはまた売主を保護するためでもあります。
ただ、売主が知らないことは告知のしようがありません。入居後すぐに気づくような問題であれば、解決に向けて相談することもできますが、何年も経ってから問題が露見することもあるのです。
ライフラインには見えない施設もある
中でも特に問題を秘めているのが、水道の引き込みと排水施設に関するものです。
例えば、対象となる土地の前面道路が公道で、そこから直接引込がある場合はいいのですが、共有の私道により公道に接道している場合などは注意が必要です。前面道路が私道だとしても、建築基準法上の道であれば建築することは可能です。ただ、私道に埋設してある給排水施設には、共有者で定めた利用制限があったり、使用に関して負担金が発生したりするケースがあります。
購入した中古住宅にそのまま住むのであれば、すぐに問題になることはないかもしれませんが、いざ取り壊し新築をしようとなった場合は、これらの制約が思わぬハードルになる可能性があります。
また、自分の敷地内にあるべき給排水管が他人の敷地を通っていることもあります。なにせ地中のことですから、掘り返してみないと実際のところはわかりません。隣地の所有者が取り壊し新築をする際に、自分の敷地内にお隣の埋設管があれば、そりゃあ即刻撤去することを主張してきます。それまで近所づきあいも良好だったお隣さんから、突然、屋外給排水配管の工事を強いられるわけですからショックですよね。
状況確認には限界がある
私たちもそうですが仲介業者としては、役所に保管されている配水管路図や給水装置図面をチェックし、図面通りの配管が為されていそうか、売主に新築当時の話を聞いて現地を確認することしかできません。
ここで問題なのが、新築当時の様子を知らない売主も存在するということです。売却物件の中には、所有者の入れ替わりの激しい物もあり、その建物の新築時の様子やメンテナンスの状況などを聞き取りできないケースもあります。また、実家を相続した遠方の子世代が売主の場合などは、生活を共にしていないわけですから建物の現状などわかるはずもありません。
どんな物件でもそうですが、状況を100%知ることは不可能です。あなたの要望を100%満たすものもまず存在しません。やるべきことはただ一つ。得られた情報を元にリスクを想像し、それ以上に欲しい気持ちが強いか、自問自答することが大切なのです。