一生の住居費を考える場合、経費として家賃を払い続けるか、それとも資産としてマイホームを購入するか、損得勘定で結論付けようとする傾向があるような気がします。マイホーム購入の動機の一つが、「家賃がもったいないから」ということも少なくありません。
生活する上で欠かせない衣食住に関するお金…中でも住まいに関するものは、毎月かかる固定費であり削減が難しい部分です。だからこそ、これからのライフスタイルを考えて、どこまで割けるか、そしてその支出を続けられるかを真剣に考える必要があるのです。
手元資金を投げ出さなくてもマイホームは購入できます。現預金は減ってないのに物を手にするという事は、借金をしているという事です。毎月こつこつ返済することにより借金の残高は減り続け、完済した暁に初めて、名実ともにマイホームはあなたの資産になるのです。
30年前に比べると、住宅を購入する人の借入額は随分増加したように感じます。以前は、物件価格の8割までしか借入できない時期もありました。それが現在は、購入と同時に行うリフォーム費用や諸費用も、合算して借り入れることができます。担保価値よりもその人の属性(どこに勤務していて年収がどのくらいか等)の方が審査においては重要みたいです。よって、手にしたものの価値以上の借入を抱える人が増えてしまったのです。
堅実に借金を返し続け、完済後もその家に住み続けて行くのなら、住居費の前払いが完了したということで安心を手に入れることができるでしょう。でも、返済の途中でマイホームを手放さざるを得ない状況に陥った時は、オーバーローン(価値以上に組んでしまったローン)の過酷さを身に染みて感じることになるでしょう。
銀行は「貸してあげるよ!」と言うけれど、果たして自分は、「買える人なのか?」という視点も大事です。一生の住居費にどこまでかけるか、最終的には自分で決断しなければなりません。