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【福岡発】宅建業界における人権問題に関する指針について

宅建業者講習会

コロナの影響で、毎年開催されていた宅建業者の講習会もWEB対応となりました。この講習会には必ず行政担当者が出席し、人権に関するビデオ視聴や講和の時間が割り当てられていたのですが、今年は封書での注意喚起に留まりました。

人権学習と言えば、中学校や高校で行われた授業風景を思い出します。そのころの対象はもっぱら「同和地区」でしたが、県が配付する資料における対象は、在日外国人、高齢者、片親世帯、障がい者等様々です。そもそも同和地区という線引きも理解に苦しみますが、同じくこれらの人々をあからさまに差別する風潮が、宅地建物取引の世界には未だにあるというのです。

 

福岡県が配付した資料の冒頭部分を抜粋してみます。

人権とは、人々が生存と自由を確保し、それぞれの幸福を追求する権利であり、人間の尊厳に基づく人間固有の権利である。しかしながら、依然として、同和問題をはじめ女性、高齢者、障がい者、子ども、外国人などに関する人権問題が存在している。

宅地建物取引の場においては、同和地区かどうか、同和地区を校区に含むかどうかといった差別を助長するような問い合わせや、在日外国人や高齢者等に対する民間賃貸住宅への入居機会の制約などの形で問題化している。

このような同和問題をはじめとする人権問題の解決は、国民的課題であるとの認識の下、関係者は、人権問題に対する意識の向上を図り、これの解決に向けた取組みを進める必要がある。(以上、県庁HPにも同様に掲載されています。)

 

宅地建物業者の責務

宅地建物取引業者は、その業務の適正な運営と取引の公正を確保し、依頼者のニーズに合わせて良好な宅地・建物の提供をすべき社会的責務を負っています。そのために、宅地・建物に関する情報を収集し説明する義務があります。

宅建業法第47条にも、重要事項の告知義務は明文化されています。が、上記のような差別を助長しかねない問合せや調査依頼に対しては、47条に抵触しないものと解釈されており、「お答えできません。」と答えるように指導されているのです。(というか、調べる方法自体もわかりませんのでお答えしようもないのですが…。)

更に言うと、そのような顧客に対して理解を求めることも、私たちの責務として指導されているのです。

 

予断や偏見による差別意識は、差別的な言動を引き起こしかねません。私たち宅建業者だけの問題ではなく社会全体の問題として、人権問題に対する意識の向上に努めるべきだと感じたのでした。 

物件検索よりも大切なこと、それは「信頼できる相談者に巡り合うこと」

 

対面相談が何故大切なのか分かり易い動画にしました。是非ご視聴下さい。


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