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【福岡発】住宅ローン借入額を左右する年収について

統計結果

テレビを観ていると、ワイドショーなどで世の中の平均年収が話題になることが時々あります。国は毎年、様々な統計をまとめているのですが、その存在はあまり知られていません。ワイドショーで切り取られた一面だけを見て、すべてを掌握したつもりになるのは危険です。各省庁のホームページで調査結果を確認し、正しく理解することが必要でしょう。

 

平均年収が意味するところ

そんな中でも特に気になる統計結果が民間会社の平均年収ではないでしょうか。実はこの平均年収に関するもの、二つの省庁が毎年独自に調査を行っています。一つは、厚生労働省が行う「賃金構造基本統計調査」であり、もう一つは、国税庁が行う「民間給与実態統計調査」です。この2つは「日本全国の会社員に対して行うお給料の調査」という観点では同じなのですが、調査方法の違いから、調査結果の内容に微妙な違いがあるのです。

 

まず、厚生労働省が行う「賃金構造基本統計調査」の方は、ズバリ「賃金」の金額が集計されています。では「賃金」とは何か?厚生労働省のサイトからかいつまんで説明すると、「労働契約等であらかじめ定められている支給条件により支給された現金給与額(きまって支給する現金給与額)のうち、超過労働給与額(時間外勤務手当等)を差し引いた額で、所得税等を控除する前の額」のことだそうです。

 

片や、国税庁が行う「民間給与実態統計調査」の方は、「給与」の金額を集計するようで、国税庁のサイトには次のような説明文があります。「1年間の支給総額(給料・手当及び賞与の合計額をいい、給与所得控除前の収入金額である)で、通勤手当等の非課税分は含まない。なお、役員の賞与には、企業会計上の役員賞与のほか、税法上役員の賞与と認められるものも含まれている。」

簡単にいうと、賞与と残業代が調査上の年収に含まれているかどうかの違いのようです。「賃金構造基本統計調査(厚生労働省)」には含まれておらず、「民間給与実態統計調査(国税庁)」の方はそれを含んだ結果であるということになります。

 

平成29年の調査結果を見ると、前者は304万円、後者は432万円です。この平均年収はあくまでも、すべての会社員の平均ですから、年齢や性別の違いも、業種や会社の規模の違いも無視し、すべてを集計して出した平均値です。これを多いとみるか少ないとみるかは人それぞれだと思いますが、この差額が気になるのです。差額の128万円は賞与と残業代の集計ということになります。

 

住宅ローンの借入可能額に影響するのはどっち?

住宅ローンを組む場合、まずは自分がいくらぐらい借りられそうかを考えます。その計算の元になるのは年収、それも後者(賞与と残業代を含む年収)です。でも、賞与と残業代は、景気や会社の都合で支給額が変動するものですよね。そう考えると、前者での検算も必要なのかもしれません。

 

いずれにしても、借入額の決定は慎重に行いたいものです。

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