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【福岡発】嘘の耐震基準適合証明書で住宅ローン減税の対象に

築30年オーバーの木造住宅を購入

随分前の話なのですが、築30年を超える木造住宅(自宅)の耐震性を調べてほしいと電話で相談を受けたことがあります。早速、図面を持って事務所に来られたのですが、バリバリの旧耐震物件で、もともと住んでいたわけではなく数年前に購入したとのこと。今回リフォームを思い立ち、調べていくうちに耐震性が気になりだしたというのです。

 

残念ながら、やっぱり不適合

耐震診断に伺い、基礎の状態や金物の設置具合を見ると、確かに古い基準で建てられた家であることがわかりました。屋内外及び床下・小屋裏の状況を調査し、事務所に帰って計算してみるとやはり現行の耐震基準に適合していません。補強工事に200万ほどかかりそうです。旧耐震物件ですから想定内の結果なのですが、私が気になったのは購入当時の住宅ローン減税のこと。購入時点で築20年を超える物件でも、耐震基準に適合していれば住宅ローン減税の対象になります。ただ、その当時は、売主側が補強を施し適合証明書を付けて売却した場合にしか適用されませんでした。

 

診断結果を見ても、売却時に適合するような補強が為されたとは思えません。色々話を聞くうちに、なんと、仲介業者がどこかの建築士に頼んで適合証明書を発行してくれたといういきさつが分かりました。勿論、耐震診断をしたわけでもなく、適切な補強工事を実施したわけでもありません。ただ、小屋裏に数か所、補強金物が設置されていたのは事実です。耐震という観点からすると、なんの補強にもなりませんけどね。

 

リフォームで安全な家に

今回の診断で耐震性不足が判明したことにより、リフォームと合わせて耐震補強を行うことになりました。私たちの説明をしっかり理解して工事を任せていただき、本当に安全な家になったことを大変喜んでいらっしゃいました。補助金制度のお蔭で費用負担を軽くすることができたのも成功の秘訣です。

 

それにしても、当該仲介業者と建築士の倫理観の無さには唖然としてしまいます。税務署にしてみれば、要綱通りに添付書類が揃っていればいいわけで、その証明書が正しいかどうか、あるいは、本当に安全な建物になったのかどうかは問わないのです。

 

住宅ローン減税のお得感は、安全をきちんと確保してこそでしょ?倒壊の恐れのある建物に住み続けるとはどういうことか、よく考えるべきでしょう。

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